理学療法の日

第11回「笑顔をあきらめない。」写真コンテスト(2023年)

日本理学療法士協会は理学療法の日(7月17日)にちなみ、様々な広報活動を行っています。
そのひとつとして、本会のキャッチコピー「笑顔をあきらめない。」を冠した写真コンテストを開催しています。

応募作品の中から優秀作品が選出されましたので、発表します。
ご応募いただいた皆さま誠にありがとうございました。

選考結果

最優秀賞

写真 最優秀賞

タイトル:ウクライナ紛争下、笑顔をあきらめない
作者:中島久元 様

ポグダンさん(写真中央)は元々ウクライナ国外で仕事をしていました。2022年2月24日に紛争が始まり、自分の国を守りたいとウクライナへ戻り、自ら志願して兵士になりました。そして戦闘の最中、頭部へ外傷を負い、手術で一命を取り留めましたが左半身に重度の麻痺を負いました。
理学療法士と立ち上がりの練習をしながら、「怪我はつらいことだけど、練習を続けて良くなりたい、良くなってまた生活に戻りたい」と語ってくれました。辛く厳しい現実の中でも自ら前を向こうとしている、私にはそう見えました。
その日のリハビリの最後に「みんなで写真を撮ってもいいか?」と尋ねてくれました。そこには胸を張り、理学療法士たちとともに少し恥ずかしそうに笑顔を見せてくれるポグダンさんがいました。
苦しい状況の中で、それでも前を向き、自分らしい日常を取り戻そうとしている多くの人びとに今私たちが出来る事を考えます。

優秀賞

写真 優秀賞

タイトル:初めての外気浴
作者:松政亜美 様

呼吸器をつけての家族でのお散歩に同行させてもらった時の思い出です。
呼吸器から離れられない中、両親が協力して抱え上げると、とびきりの笑顔が弾けていたのが印象的でした。

写真 優秀賞

タイトル:「笑顔をあきらめない」
作者:坂田晋一 様

様々な病が旦那さまから言葉や表情、運動を奪った。
しかし理学療法士の介入によって在宅生活は少しずつ上向いていった。

いつしか本人・家族の「全てを忘れてしまう前に、所縁のある人がいなくなる前に、一度でいいから故郷に帰りたい」という想いが目標となった。駅での練習を繰り返し、6時間の移動に耐えうる状態となり、遂には故郷の土を踏むことができた。

故郷の地は西日本豪雨の被害を受け、まだ壊れた建物が駅前に残っていた。実家に着くと親族や友人が集まり、喜びの声が挙がった。なかには心臓ペースメーカーをつけ家族と共にいらした方もいた。その時の旦那さまは心なしか男気が溢れた面構えに見えた。

そして、旦那さま奥さまだけの時間となり、想い出の海を訪れた。砂浜には男女2人が立ち、かつての夫婦姿を彷彿させる情景が広がっていた。この記録を笑顔で残したい奥さまの「笑顔をあきらめない」姿が沢山の人を笑顔にした。

佳作

写真 佳作

タイトル:第二の人生!リスタートに乾杯!!
作者:川﨑淳子 様

私とご夫婦の出会いは、ケアマネジャーと利用者の関係。
ご主人が定年を無事に迎え安堵していた矢先、脳出血を発症した。第二の人生で楽しむはずだった夢ははかなく散ってしまった。広範囲にわたる脳出血により後遺症が残った。入院中は、病気を受容できずリハビリに対する意欲も乏しく、車椅子状態で退院の運びとなった。
自宅での生活は不自由さの連続で「これではダメ人間になる!」とご主人が一念発起。現在は、奥様の送迎で通所リハビリテーションに通う日々である。車椅子から歩行器、そして杖歩行とレベルアップしている。
通所リハビリテーションに通う道中にある河畔公園を2人で散歩できる幸せは「生きていて本当に良かった」と思える瞬間だそう。
苦しかった入院生活、頑張った結晶の入院生活を乗り越え、ワッハッハと笑いが絶えない日常を掴めたのだと強く思う。
ご夫婦の第二の人生はこれからスタートする。

写真 佳作

タイトル:孫のために...
作者:しんしん 様

母は、15年前、頭を打つ大怪我をしてしまい、その後も少しずつ機能が低下し、5年前には敗血症になり、いつ亡くなるかわからない意識不明の重体になりました。半年以上寝たきりで、せん妄状態だった母に、毎日二人の孫が話しかけ、2021年に生まれた3人目の孫のために、母はなんとか抱っこできるようにと必死に運動をして、ようやく膝上で抱けました。
母の生命力の強さと、孫の力にはかないません。
昔は、山に300回以上登り、仕事もバリバリ働いていた母。一人っ子の私は、突然介護状態になった母と過ごすのが辛くて仕方がありませんでした。しかし、私自身も大人になり、結婚し親になり、母の大変さを痛感するばかりです。いつまでも元気でいてね‼︎と願いつつ、孫の顔と私の顔をしっかり見せに行こうと思っています。

写真 佳作

タイトル:地域を一つの大きな家族に
作者:川邊祐詩 様

家族とはなんでしょうか?
僕と彼に、血縁関係はありません。しかし、僕は彼を家族だと感じています。
僕と彼はルームシェアを一年間しました。
僕は理学療法士、彼は血縁関係のない要介護5の利用者さん。そんな関係性から始まった二人です。
医療者と患者ではなく、暮らしを共にする家族でした。
一緒にご飯を食べる、友達や彼女を紹介する、共に泣き、共に笑う。
僕は彼からたくさんの幸せをもらいました。僕にとってリハビリテーションの究極は「共に暮らす」ことだと思います。
家族のように想い、共に暮らした時間はかけがえのないものです。
この経験を、これから出会う人たちに繋いでいくこと、そして、医療者と患者ではなく、暮らしを共にする家族のような関係性を築くことができる社会を創っていくことが、僕の使命だと思っています。

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