医療・介護専門職等の処遇改善に関する本会の対応

岸田内閣が発足した後、政策の目玉として打ち出された看護師や介護士などの処遇改善。
テレビなどでも取り上げられ、会員の皆さまも報道をご覧になった方もいらっしゃるかと思います。
政策の対象に他職種はどこまで含まれるのか、どのような分配スキームとなるのか。「など」の部分の解釈について、本会をはじめとした関係団体は、非常に短い期間で検討が進められる本件について、政府の動向を常に注視を続けてきました。

理学療法士の給与は、他職種と比較してどのような推移を辿っているのでしょうか。
厚生労働省が実施する「賃金構造基本統計調査」から、理学療法士の所定内給与額の15年間の伸び率は103%に留まり、看護師・保育士・幼稚園教諭・福祉施設介護員と比較して大きな差が生じていることが明らかになっています。処遇改善は、理学療法士にとっても重要な課題です。

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図:所定内給与額の他職種比較 平成18年を1とした場合の伸び率

そこで本会は、上記のデータなどを基にして要望書を作成し、政府に対して医療・介護専門職等の処遇改善の議論の対象に「理学療法士」を加えることを要望しました。 11月16日に後藤茂之厚生労働大臣、11月17日に、自由民主党茂木敏光幹事長、高市早苗政務調査会長、関口昌一参議院議員会長へ要望書を提出し理学療法士の処遇に対する問題点について説明を行いました。

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写真:後藤茂之厚生労働大臣に要望する斉藤秀之会長(11月16日)

要望活動の2日後の11月19日、臨時閣議において「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」が閣議決定されました。この中で、介護・障害福祉職員を対象に、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、収入を3%程度(月額 9,000 円)引き上げるための措置を来年2月から9月に実施するとし、他の職員の処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認めるとされました。

看護職員についても、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する職員から、段階的に収入を3%程度引き上げていくこととし、来年2月から9月にまず収入を1%程度(月額 4,000 円)引き上げるための措置を講ずるとされました。そして、この処遇改善の収入は看護補助者、理学療法士・作業療法士等のコメディカルの処遇改善に充てることができるよう柔軟な運用を認める、と明記されています。

そして、さらなる処遇改善に向けて、全世代型社会保障構築会議 公的価格評価検討委員会を主な議論の場として、検討が進められています。
2021年12月21日、本会は各職種の現状や課題、今後行うべき取組等に関する要望をとりまとめ、公的価格評価検討委員会宛にも要望書を提出しました。

本会のような職能団体が大臣や与党の幹部に要望を届けることは至難の道です。今回の要望活動は、組織代表議員である小川かつみ議員にご尽力をいただき実現しました。

私たち理学療法士は、多くの方が診療報酬など公の枠組みの中で働く職種です。政府の取り組みに対して、本会はこれからも注視を続け、理学療法士の職域や処遇を守り、改善するための活動を続けていきます。

JPTA NEWS 12月号では、斉藤会長のTop Messageや政策参与の小川先生のコラムでもこの度の処遇改善に関する活動や政治活動について取り上げています。
12月下旬に会員の皆さまのお手元に届く予定です。ぜひご覧ください。

PDF版は、広報バックナンバーからご覧ください

(広報企画課/2021年12月28日)

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