日本の理学療法の創設期においてその礎を築き、理学療法士の地位向上と理学療法の普及に心血を注いでこられた田口順子元副会長が10月29日にご永眠されたとのご連絡をいただきました。
そのご逝去を悼み、斉藤会長からの追悼文を掲載いたしました。
公益社団法人 日本理学療法士協会
第9代会長 斉藤秀之
このたびの田口順子氏(東京都理学療法士協会会員)のご逝去に際し、謹んで哀悼の意を表します。
田口氏は、日本初の理学療法士養成校の第1期卒業生であり、1966年に実施された第1回理学療法士国家試験合格者として、本邦における理学療法士の歴史の礎を築かれ、本会の設立ならび世界理学療法連盟への加盟にもご尽力されました。このように日本の理学療法発展の先駆者として、長年にわたり私ども日本理学療法士協会の発展に尽力され、数々の功績を残されました。
また、理学療法士の職務がまだ広く認知されていなかった当時の日本において、卓越した語学力を生かし国際舞台でもご活躍され、日本の理学療法を世界基準に近づける必要性を強く認識されていました。JICA青年海外協力隊技術顧問としての活動など途上国での人材育成にも尽力され、その貢献は計り知れず、2011年には世界理学療法連盟からも国際貢献賞を受賞されています。このように、私どもが今日、国際協力の分野で大きな成果を得ることができていることは、ひとえに田口氏の貢献によるものであり、深く感謝申し上げます。
一方、1993年に開催された第28回日本理学療法士学会では、初の女性大会長として「国際的な視野に立った理学療法」をテーマに世界理学療法連盟学会の誘致を進め、1999年に第13回世界理学療法連盟学会(横浜)を開催、その開会式への天皇・皇后両陛下のご臨席についても関係各所へ働きかけをなされ実現したことは、田口氏だからなし得たことと語り継がれています。常に温かな微笑みを絶やさず、周囲の皆に勇気を与えてくださいました田口氏に、来年2025年、四半世紀ぶりに東京で開催される世界理学療法連盟学会をご覧いただけなかったことが悔しくてなりません。
最後に、田口氏のご遺志を引き継ぎ、私たちも理学療法のさらなる発展に尽力してまいります。ご遺族の皆様に心よりお悔やみ申し上げますとともに、田口氏のご冥福を謹んでお祈り申し上げます。