【緊急記者会見(リハ3団体)】処遇改善の実効性確保と疾患別リハ料引き上げの要望および診療報酬改定の議論(急性期一般病棟の多職種配置)に対する声明を発表

2025年12月26日
JPTA NEWS on-line

2025年12月24日(水)、リハビリテーション専門職団体協議会(日本理学療法士協会・日本作業療法士協会・日本言語聴覚士協会。以下、3団体)により、厚生労働省記者クラブにおいて、「理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の処遇改善および急性期一般病棟の多職種配置についての記者会見」を開催しました。本会からは斉藤秀之会長と佐々木嘉光副会長が登壇し、以下の2つの重要課題について説明しました。

1.「リハビリテーション専門職(以下、リハ専門職)の処遇改善」について
2.「急性期一般病棟における多職種配置」について

※説明資料はこちら(記者会見資料 PDF:2.73MB)をご覧ください。

1.「リハビリテーション専門職(以下、リハ専門職)の処遇改善」について

3団体として、リハ専門職の処遇改善に向けて以下の要望を示しました。

○幅広い職種の賃上げに確実につながる的確な対応をおこなうこと。
○疾患別リハビリテーション料を総合的に10%以上引き上げること。
○令和9年度においても賃金・物価上昇等を踏まえ、診療報酬を機動的に調整する対応が可能となるような仕組みとすること。
○今後10年間で3療法士の給与を倍増すること。

医療・福祉分野の賃金は主要産業中で伸び率が最も低く、平均給与も低水準にとどまっています。さらに令和7年度報酬改定に係る3団体合同調査では、リハ専門職に対するベースアップを実施した施設は医療31%、介護11%、障害福祉16%と極めて少ない状況を示しました。
また、診療報酬におけるリハビリテーション提供の公定価格である「疾患別リハビリテーション料」は約20年間ほとんど改定されていません。このため、経営の改善と確実な賃上げを達成するには、疾患別リハビリテーション料の引き上げが不可欠であることを説明しました。
リハビリテーションサービスの十分な実施は、要介護者の増加抑制や寝たきり・認知症等の予防に寄与し、医療・介護保険財源の安定化に直結します。したがって、処遇改善は単なる賃金引き上げではなく、リハ提供体制を維持するための基盤整備です。
以上を踏まえ、3団体として、リハ専門職のさらなる処遇改善に向けた抜本的な対応を強く要望しました。

【参考】
「『令和7年度リハビリテーション専門職の処遇改善調査』結果発表 ~現金給与総額の引き上げ、ベースアップの実施状況は不十分~」を掲載しました|最新情報|公益社団法人 日本理学療法士協会

2.「急性期一般病棟における多職種配置」について

12月12日に開催された「中央社会保険医療協議会 総会(第635回)」 において、令和8年度診療報酬改定に向けた急性期入院医療に関する検討が行われました。
その中で、「急性期一般病棟入院料について、高齢の救急患者の多い病棟において、一部の人員を看護職員と多職種のスタッフ(リハ専門職等)を組み合わせて柔軟に配置できる仕組みとすること」が検討されました。
※原則的な「看護職員配置(7対1)」に代わり、「看護職員配置(10対1)」+「多職種配置」の組み合わせにより「計7対1相当」として評価する考え方が示されています。

【抜粋】中央社会保険医療協議会 総会(第635回) 資料 総―3(PDF)
【抜粋】中央社会保険医療協議会 総会(第635回) 資料 総―3(PDF)

この議論を踏まえて、3団体として以下の声明を示しました。

○高齢の救急患者の多い病棟において、多職種が各専門性を発揮し、早期に介入することは賛成である。
○一方で、各専門職には各専門性があるため、それらが十分に発揮できるよう、役割分担など詳細な整理が必要である(看護職の専門性、看護機能、夜勤体制に関する影響等を含む)。
○各専門職の役割分担を整理する際には、医事法等の法令との照合も踏まえ慎重に議論すべき。
○看護職の担い手不足を補うためのものではなく、その病棟機能に必要な看護職を配置したうえで、多職種が各専門性を発揮し、早期に介入すべき。

3団体では、リハ専門職の専門性が発揮される制度設計を求めています。療養上の世話(食事介助、口腔ケア等)にあたる事項については、リハ専門職の役割を誤解させる表現であり、法令に基づく役割分担の整理が必要であることを訴えました

登壇者(左から2番目:斉藤秀之会長、左はじ:佐々木嘉光副会長)
登壇者(左から2番目:斉藤秀之会長、左はじ:佐々木嘉光副会長)

資料説明をおこなう斉藤秀之会長
資料説明をおこなう斉藤秀之会長

記者会見の様子
記者会見の様子

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