奈良勲第六代会長・相談役を偲んで

2026年1月16日
JPTA NEWS on-line

1989年から2003年の間、本会の第六代会長を務められ、退任後は相談役として本会を支えてくださっていた奈良勲氏が11月8日にご永眠されたとのご連絡をいただきました。 そのご逝去を悼み、斉藤会長からの追悼文を掲載いたしました。


公益社団法人 日本理学療法士協会
会長 斉藤秀之

 日本理学療法士協会第六代会長であり、現相談役として長年にわたり本会の発展に多大なるご尽力を賜りました奈良 勲先生がご逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表します。
 奈良先生は、生涯を通じて「理学療法を科学にする」ことを己の使命とされ、日本の理学療法の学術的確立と発展に心血を注がれました。経験や勘に頼るのではなく、根拠に基づき説明できる理学療法を社会に示すことの重要性を、早くから強く認識され、研究・教育・臨床の調和的発展を常に説き続けてこられました。その揺るぎない信念は、多くの理学療法士の進むべき道を照らし続けてきたと言えます。
 また奈良先生は、日本国内にとどまらず、国際的な舞台においても理学療法の発展と地位向上に大きな足跡を残されました。世界理学療法連盟(World Physiotherapy)をはじめとする国際学術・専門職団体との交流を積極的に推進され、日本の理学療法の水準と研究成果を世界に発信するとともに、国際的視野を備えた人材育成の重要性を強く訴えられました。日本の理学療法が国際的に信頼され、対等なパートナーとして評価される今日の礎には、奈良先生の先見性と不断の努力が確かに息づいております。
 第六代会長として協会運営の重責を担われた時代においては、学術基盤の強化、人材育成の体系化、専門職としての社会的責任の明確化に尽力され、理学療法士が自律した専門職として歩むための礎を築かれました。会長退任後も相談役として、常に協会と理学療法士の未来を案じ、折に触れて的確かつ本質を突いたご助言を賜りました。
 私自身、奈良先生の教え子の一人として、学生時代から今日に至るまで、数え切れないほどの叱咤激励と温かな導きをいただいてまいりました。妥協を許さぬ厳しさの中に、常に理学療法への深い愛情と、次代を担う者への期待が込められていたことを、今あらためて痛切に感じております。その教えは、今もなお私の臨床、研究、そして協会活動の根幹を成すものです。
 一方で、先生から受けたご恩に対し、十分なご恩返しができぬままこの日を迎えてしまったことは、痛恨の極みであり、忸怩たる思いを禁じ得ません。その悔恨の念を胸に、奈良先生が生涯をかけて示された理学療法の在り方を、次の世代へ確実に継承していくことこそが、残された私たちの責務であると強く感じております。
 私たちは、奈良 勲先生の高い志と不屈の探究心を受け継ぎ、国民の健康と幸福に資する理学療法のさらなる発展、そして国際社会から信頼される専門職としての歩みを、誠心誠意進めてまいります。
 ここに奈良 勲先生のご冥福を心よりお祈り申し上げるとともに、ご遺族の皆様に深くお悔やみ申し上げます。

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