2025年7月1日より施行される災害救助法施行令の改正において、「福祉関係者」が災害時の都道府県知事等からの従事命令の対象として新たに明記され、「医療関係者」の範囲として理学療法士、作業療法士、言語聴覚士も新たに追加されることとなりました。この法改正は、本会および日本作業療法士協会、日本言語聴覚士協会(以下、3協会)等が、関係省庁や国会議員との連携を通じて繰り返し要望してきた内容が実現したものです。
災害対策基本法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令について(概要)
理学療法士の災害対応力の制度的裏付け
今回の法改正は、単に理学療法士が被災者支援に加わることを可能にするものではなく、公的な災害対応体制における役割の明文化を意味します。これにより、内閣総理大臣の指示における都道府県知事の要請に基づき、災害救助(医療)に関する業務に従事すること、被災地域の医療機関への応援派遣(支援者の支援)、避難所対応(生活支援・身体機能の維持、二次的障害の予防)など、理学療法士の専門性を生かした活動に対して、法的・制度的な正当性と実効性が与えられることになります。
災害救助法施行令
<該当箇所:災害救助法施行令(医療、福祉、土木建築工事及び輸送関係者の範囲) 第四条>
本会による要望活動と成果:制度改正までの歩み
この制度改正は、本会が一貫して訴えてきた「理学療法士が災害時に必要不可欠な存在である」という主張が、政策として受け止められた結果です。以下は、主な要望活動等の流れです。
時期 | 主な活動内容等 |
2024年 3月7日 |
第213回国会予算委員会において、村松祥史内閣府特命担当大臣(防災担当)に組織内議員の田中昌史議員が「災害救助法における従事命令の対象職種に介護・福祉・保健を加える必要性」について質疑。大臣より「総合的に検討する」と答弁。 |
2024年 4月25日 |
岸田文雄総理にニューレジリエンスフォーラム第4次提言を提出。「災害時医療における理学療法士等の活用を進めるとともに、同法第四条(救助の種類等)に「福祉」を追記」することを明記。 |
2024年 6月11日 |
リハビリテーションを考える議員連盟第9回総会で「災害救助法や防災基本計画等の関係法令等への3療法士の災害支援に係る人材育成及び研修の明記と予算措置」に関する提案事項を3協会より説明。 |
2024年 7月30日 |
村松祥史内閣府特命担当大臣(防災担当)に「災害救助法施行令における理学療法士等の記載」に関する要望書を本会より提出(2025年度予算概算要求に向けての要望)。 (要望書はこちら(PDF:66KB)) |
2025年 2月14日 |
「災害対策基本法等の一部を改正する法律案」が閣議決定。 |
2025年 5月28日 |
参議院本会議で改正災害対策基本法及び改正災害救助法が成立 |
2025年 7月1日 |
災害救助法施行令を施行 |
【2024年6月11日】リハビリテーションを考える議員連盟第9回総会 説明資料
【2024年7月】内閣府(防災担当)への要望書提出
(左:斉藤秀之会長、右:佐々木嘉光副会長)
今後、理学療法士に求められること
本会は2025年2月12日に「防災庁における理学療法士の配置に関する要望」を内閣特命担当大臣である赤澤大臣へ提出し、災害・防災支援における理学療法士の更なる活躍を推進しています。(要望書提出報告はこちら)
今後の展望として、理学療法士が災害・防災支援に関わる場面はさらに拡大していくと見込まれます。本制度改正に端を発し、実効性ある地域連携・災害支援体制の構築へつなげていくことが、今後の私たちの使命です。
なお、本会では会報誌「JPTA NEWS」355号にて特集「災害支援は、あなたの一歩から」を掲載しています。こちらもぜひご覧ください。
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