寝屋川市が実施する介護予防・日常生活支援総合事業を通じた予防理学療法の活用がその後の虚弱高齢者の身体機能向上、社会参加、介護サービス未利用状態の維持等に与える効果の評価
研究代表者:服部 真治 先生(一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構)
KEYWORD: 短期集中通所サービス 要支援者 サービス未利用率
1. 概要
本邦では、少子高齢化によって要支援・要介護状態の高齢者が増加する一方で介護人材不足が深刻化しており、高齢者の自立支援、重度化防止が強く求められている。平成27年4月には、介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)が創設され、予防理学療法等を活用して介護サービスの終了を目指す短期集中通所サービス(以下、通所C)の実践がされているが、科学的分析がなされていない。
そこで本研究では、大阪府寝屋川市の要支援認定者を対象として、総合事業の通所Cの利用により、介入終了後から12週間後の介護サービス未利用率が優れているか、ランダム化比較試験(RCT)にて有用性を検証した。
研究の結果、以下の結果が得られた。
介入終了後から12週間後の介護サービス未利用率は、介入群では11.8%、対照群は0.6%であり、介入群で高かった(表1)。認定区分(介入群)では、要支援1の未利用率は12.5%、要支援2の未利用率は10.9%だった。また、家でのつまづきや滑りに対する主観的評価結果では、介入群は対照群と比較し、介入終了後に割合が減少していた(図1)。本研究により、要支援者が介護サービスを利用せずに日常生活を維持できる可能性が示唆された。
なお、経済評価について、1月1人あたりの介護サービス費用平均値額の推移では、介入終了月以降は、介入群が対照群を下回った。しかし、介入群は短期集中予防サービスの費用が上乗せされるため、介入期間中の費用は対照群を上回り、介入終了後6か月経過時点では、介入群の合計額は対照群を上回った(図2)。
2. 理学療法士の活用
本研究は、大阪府寝屋川市の総合事業において、理学療法士による予防理学療法を組み込んだ新しい介護予防の効果を客観的に分析し、その有用性を確認している。成果として、介護予防を通じた地域における理学療法士の参画につながる可能性が示唆されている。
総合事業の短期集中通所サービスを利用することにより、介護サービスの利用を減らし、介護予防・自立支援の効果が得られることが分かりました。
また、介護サービスを受けずに自立した生活を送れるようになることは、生活の質(QOL)を高める可能性があります。
参考資料(寝屋川市作成資料)
出典:寝屋川市作成資料(厚生労働省資料を一部改変)
出典:寝屋川市作成資料(厚生労働省・三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成資料を一部改変)